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その1、 軽井沢 「アリスの丘ティールーム」をたずねて
願いかなって信州を旅してきました。1泊2日のバスツアーです。
景色もお花たちも素晴らしかったのですが、この旅の第1目的は森村桂さんのお菓子のお店、「アリスの丘」を訪ねることでした。このツアーには軽井沢で2時間のフリータイムがあったのです。
森村桂さんは昨年9月、突然天国へ旅立たれました。前々から一度お訪ねしたいと何度も言っていたのですが・・・ご存命中に果たすことはできませんでした。残念でなりません。
若い日、『天国にいちばん近い島』を夢中になって読みました。その後彼女が再婚したのがなんと私の高校の同級生だった三宅一郎さんでした。再婚した頃の著書を読んでいましたら、同じ三宅一郎と言う人を知っているけれど、一郎なんてよくある名前だしまさかと思っていました。しかし本の中に出てくるその人となりはどうも私の知っている三宅一郎さんによく似ている。そのまさかのまさかだったのです。
10年ほど前、大阪の朝日新聞社で桂さんの絵の展覧会と講演会があり、その時桂さんには初対面、一郎さんには高校以来の再会でした。この時は私のように若い日に憧れた同年代の桂ファンがたくさん来ていました。一郎さんは会場で書籍や絵はがきの販売など裏方さんを一手に引き受けていて、てきぱきと動いていました。桂さんはニコニコ。桂さんが何時までも少女のような澄んだ瞳で本や絵を描き続けていられるのをしっかりと支えているのが一郎さんだと確信してうれしくなりました。
実は昨年9月初旬でしたか、いよいよアリスの丘へ行く計画を進めていました。その時突然浅間山が噴火し、宿泊予定先のホテルからキャンセルされてしまったのです。
今回、やっと実現できたものの、そこには桂さんはもういない・・・遺影が飾られたさびしいアリスの丘でした。
これらの写真を私のHPに掲載することについて三宅一郎さんの了解を得ています。
一部の写真はクリックすると大きくなります。
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アリスの丘ティールーム 軽井沢バイパス雨宮橋たもと |
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在りし日の森村桂さん 私の好きな写真です |
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真ん中は震災で亡くなっ
た人々の鎮魂のために描
いた絵の写真
現在この絵は神戸市役
所24Fに飾られています
(↓) |
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絵や写真がいっぱい |
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桂さん最後の絵 亡くなる前日に描いたそうです |
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テラスのテーブルと椅子 |
天井のはりに描かれた絵 |
コップに野の草がさりげなく |
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大阪でいただいたサイン |
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テラスで「幸せのお菓子」とばらの紅茶をいただきました。とびきりの味。これはおいしいですよ〜
桂さんのレシピで今もスタッフが心を込めて焼いておられます。
遺影を飾られた仏壇があるのですがここに載せることは控えさせていただきます。
そこには皇后様からのお供えが飾ってありました。お菓子を気に入ってくださった皇后様がこの店に度々おいでになったそうです。このあたりは桂さんの書かれた著書をごらんください。
桂さんが亡くなった前日に描いた絵が飾ってありました。王女さま?も、うさぎさんかな?も、みんなやさしい、幸せな顔をしています。ほんとうにいつもの絵・・・
一郎さんは少し元気がありませんでした。無理もないことでしょう。
私がもっと近くに住んでいたなら、ガーデナーを引き受けて、お庭やプランターを季節の花でいっぱいにしてあげるのに・・・彼にはもっと元気を出してほしいと思います。桂さんのためにもね。
森村 桂 「人魚の涙」 神戸市へ寄贈 神戸市役所24階 に展示
追記・・・20051019
このたび三宅一郎さんが本を出版されました。
三宅一郎著『桂よ。わが愛その死』海竜社2005年9月7日発行
夏にアリスの丘を訪ねた時、「実は今、手記を書いている」と彼から聞いておりました。9月には出すとのことで心待ちにしていましたがアリスの丘HPで発行されたことを確認し、すぐに購入しました。
桂さんとの運命的な出会いから突然の天国への旅立ちまで、衝撃的ではありましたが書きつづる彼の懸命さが伝わってきて一気に読み終えました。晩年の桂さんは心の病で苦しみ、彼女自身も一郎さんも必死の、壮絶な日々であったようです。「多くの人に夢や希望を配達する」桂さんの天性のすばらしさを発揮できるように彼女を支えることを使命として歩んだ25年。でも「桂を守りきれなかった。桂の心をいやしきれなかった」というしめくくりの述懐。どんなに悲しく、くやしいことだったでしょう。。でも彼はよくやったと思いますよ。大阪で会った桂さんはあんなにいい笑顔をしていましたもの。死の前日に描いた絵を見ましたが天真爛漫、純真無垢そんな心があふれているいつもの絵でした。桂さんがいつまでもそんな心を持ち続けることができたのは、一郎さん、あなたがそばにいて支えてあげたからこそですよ。
それに文章も組み立てもうまいのには感心いたしました。さすがわがI高校報道部(新聞部)のOBですね。
先日ニュージーランド旅行の帰り、ニューカレドニアの上空を飛びました。スチュワーデスさんからそのことを教えてもらってみんな窓に顔をくっつけて島を見ました。きれいな海。青い珊瑚礁。私に限らずどの人も「天国に一番近い島」「ああ、森村桂さんの」と口々に言っていましたわ。私達の年代にどれほど大きい影響を与えた偉大な作家であったかということだと思います。桂さんありがとう。
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ニューカレドニア上空・・・ニュージーランド航空機より 2005年10月2日 |
夏に食べた桂さんの「幸せのお菓子」のこと
たっぷりの干しぶどうとブランデーの入った焼き菓子。それはとびきりのおいしさでしたが、この本によると
「桂はその『幸せのお菓子』に『幸せは、分かち合うほど大きくなる』と、口上をつけていました。だから、『薄く切って、たくさんの人と召し上がってください』と。」
そうか、「幸せは、分かち合うほど大きくなる。」か・・・いい言葉ですね。もういちどその言葉をかみしめながらあのお菓子をいただきたいものです。
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